イーサリアムクラシック(ETC)

イーサリアムクラシックはイーサリアムから分岐(ハードフォーク)した暗号資産です。ハードフォークとはブロックチェーンのシステムの仕様を変更することで、これを行うと今までのブロックチェーンとは別に新しいブロックチェーンが作られて分岐します。

参考:ソフトフォークとハードフォーク

The DAO事件が原因で起こったハードフォークでは、オリジナルをイーサリアムクラシック、新しく分岐した方がイーサリアムとなりました。

イーサリアムとイーサリアムクラシック、性能はほぼ同じ

イーサリアムクラシックは、イーサリアムから分岐しているので、特徴や性能はほぼ同じです。ブロックチェーン技術を利用してアプリケーションを開発するシステムというのが元になっていて、スマートコントラクトという自動契約の技術を持っています。

詳しくはイーサリアムをご覧ください。ブロックチェーンについてはこちら。

The DAO事件 〜ハッキングをなかったことにするかどうか〜

DAOとは「自律分散型組織」のことで「Decentralized Autonomous Organization」の略です。これはあらかじめ決められたルールを元に、特定の管理者を持たずにメンバーひとりひとりが意思を持って実行できるシステムのことです。

このDAOのシステムを利用した「The DAO」という投資ファンドのサービスがあるのですが、このThe DAOで2016年6月にハッキング事件があり、約360万ETH(約50億円)が盗まれました。しかし送金した後27日間は資金を使用できないルールがあったため、その間に対策を考えることになりました。

方法としては

  1. 何もしない(そのままハッカーに渡してしまう)
  2. 送金された資金を凍結する(ハッカーの手には渡らないが360万ETHは永久に失われる)
  3. 取引の記録をさかのぼり送金前の状態に戻す(ハッキング自体をなかったことにする)
結果として過半数の支持を得て3の手段(ハードフォーク)が取られました。盗まれた資金は元に戻りましたが、元々イーサリアムは管理者を持たない非中央集権のプラットフォームとして開発されていたので、ハッキングとはいえ管理者の権限で取引の記録を戻すのは理念に反するのでは?という声が上がり、非中央集権の原点に戻ろうという思想の人たちによって、イーサリアムクラシックが誕生したのです。

イーサリアムクラシックは非中央集権の理念を強く持っているので、たとえこの先ハッキング事件が起こってもハードフォークは行わないとしています。

イーサリアムとイーサリアムクラシックの違い

イーサリアムは引き続き、従来の分散型アプリケーション開発システムのプラットフォームとして存在しています。

一方、イーサリアムクラシックはIoTプラットフォームとして活用が見込まれています。IoTとはInternet of Things(モノのインターネット)のことでそのままアイオーティーと読みます。例えば家電とインターネットをリンクしてスマートフォンから遠隔操作したり、スピーカーに話しかけるとネットで検索して教えてくれる…というようにモノとネットを繋げるサービスやシステムを指します。

(※2021年1月時点)

イーサリアム イーサリアムクラシック
発行枚数上限 上限なし 2億1000万~2億3000万ETC
時価総額 1兆6150億(第2位) 912億(第46位)

他にも、発行枚数に上限があること、ビットコインに続く第2位のイーサリアムに比べて時価総額に大きく差が付いています。技術者や資金など組織規模が圧倒的にイーサリアムの方が大きく安定性や信頼が高いため、マイニングをする人もイーサリアムの方に重きを置いているのです。性能的にはイーサリアムと差がないので今後成長する可能性もあるでしょう。